Cyber U.S.A + 1997年11月
シンプルなデジタルアート
 

コンパクトMacを素材にしたアート

 SOHOにあるポストマスターズ・ギャラリーで10月11日まで行われている、「Mac Classics (the immaculate machines)」は、シンプルに徹したグループ展だ。

 共通テーマは、512KからClassic IIまでのコンパクトMacを使ってアート作品を作ること。Macそのものをオブジェとして使ったり、制限のあるなかで昔のMac用にシンプルなプログラムを作ったりして、13人(組)のアーティストが参加している。

 白い壁と天井に囲まれたギャラリーの小部屋には、中央と壁に沿ってMacが置かれているだけ。作品も展示方もミニマリズムを目指しているよう。

 質問をキーボードで入力すると、エイリアンがそれに答えてくれる「ask the alien」、モーターとタイヤを取り付けたClassicがプログラムで動く「M.A.C. (Mobile Apple Computer)」(写真)、スクリーンで回転するレコード盤の上にカーソルを持っていくと音が出る「Edison Re-Creation」など、書いてしまうと「ただ、それだけ」なのであるが、マシンパワーやアプリケーションに物を言わせた、派手なだけのお手軽デジタルアートに食傷気味の私にとっては、それがなんとも新鮮だったりする。

 キュレーターのタマス・バノビッチ氏も、「日に日に進化するデジタルメディアや最新技術の変化についていくと、熟考するための時間がなくなってしまい、(作品を作る)創造的なプロセスは、最新技術のプログラミングに反応することになってしまう」と、やはり今どきの先端技術をアピールするようなデジタルアートには興味がないらしい。

 グループ展には、「これこそWebアート!」と前々から感動していた、jodi.orgのクリエイターたちが参加していた。

 jodi.orgは、Macが暴走したか!? とびっくりさせられるようなプログラミングコード類、斜めにスクロールするグラフィックなどが次々と高速に現れて、思わずHTMLのソースを見ずにはいられないインパクトのあるWebサイトなのだ(見てもよく分からないのだけど…)。

 クリックする度に、不可解な世界がウインドウに繰り広げられて、インターネットに接続していることをつい忘れてしまうほど引き込まれてしまう(Macユーザーには親しみのあるアイコンやインタフェースが登場するのもポイント)。

 jodiとは何か? どうしてorgなの? 誰が作っているの? と情報がなくてミステリアスなWebサイトだったのだが、クリエイターはオランダとドイツ出身のJoanとDirkのふたりということが判明。ふたりの名前の最初の2文字をとってjodiにしたのだったら…単純すぎるな。

クローン問題の意外な結末

 Macworld Expo/Bostonでのアップルとマイクロソフトとの提携以来、ため息をつきたくなるようなニュースが多い。

 Mac OSライセンス問題でもめていたPower ComputingのMac部門を、1億ドルで買収してしまったのには、ライセンスを取り上げるにはこんな方法があったのね、と感嘆したのと同時に、ユーザーのことを考えていないと思われる行為に悲しい気分になってしまった。

 Power Computingの広告、販売方法、そしてエキスポでのイベントや展示ブースのアピールの仕方は、エレガントとは言えないが、かなりのアイデアと情熱があって、いつもお上品なアップルに、少しは見習って欲しいと感じていたのだった。エキスポの、そしてクローン市場の盛り上げ役がいなくなってしまうのは非常に残念。

 その後、UMAXはMac OSをライセンスされたが(アナリストによると、ローエンドモデルが主力で、アップルが弱い中国などのアジア圏でシェアを拡大している理由から)、MotorolaはMacクローン市場から撤退することを発表し、IBMもそれに続くだろうと現時点(9月中旬)では言われている。

 こうなると事実上、クローンはほとんどなくなってしまうと思える(何年後かに、クローンマシンにプレミアがついたりして…)。

 おまけに、数カ月前に子会社化したNewton Inc.をアップルに出戻りさせるというし、未だにCEOは不在で来年まで決めるつもりはないらしいし、ニュースを追って一喜一憂するにも疲れてきて、旅に出たくなってしまう(?)この頃なのだ。

今月の近況●たまごっち以来、ヴァーチャルペットがブームのようで、あちこちでたまごっちもどきが大量に売られている。こっちではネックレスにしてぶら下げている人多し。近所のプリクラ機も大人気みたい。



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