Webgrrls Expo '69
School of Visual Arts
ニューヨークのアートスクールといえば、州立のFashion Institute of Technology(FIT)、私立のPersons School of Designなどが一般に日本で有名なところだが、意外と知られていないのが、School of Visual Arts(SVA)だ。SVAは1997年に創立され、来年50周年を迎えるアメリカで最大のアートスクールで、設備が整っていることでも知られている。なかでも評判のComputer Artコースは、アメリカ国内でもいち早く、1982年に設立され14年の歴史がある“老舗”学部だ。
ミッドタウン、21〜23丁目に校舎が点在しており、今回はウエストサイドにあるComputer Artコースの校舎内を見せてもらう機会があった。
古いビルの2と10階にコンピュータが設置された教室がある。メインで使用されているコンピュータはもちろんMacintosh。聞くと、教員が使っている分などを含めて、学校全体で500台くらいのMacがあるというから驚いた。比較的最新の機種が揃っていて、Power Macintosh 8500/120と17インチモニタが教室にずらっと並ぶ様はなかなか壮観。
グリーンとパープルのボディカラーが鮮やかなSilicon GraphicsのIndigo2や、PCなどももちろんある。最近ではPCを使ってのアニメーション制作も普通になっているとか。 とある教室のホワイトボードには「SIMM=Single Inline Memory Module, DIMM=Double Inline Memory Module」と書かれており、床にはむき出しの内蔵ハードディスクやマザーボードが、ドライバーと一緒に転がっていた。聞くとこれは、ハードの仕組みの授業らしい。
ほかにもビデオや音楽用の編集機などの設備が充実しており、ここで勉強できる生徒は幸せだな、と思ってしまった。
デジタルは低コスト? The Low Res Film Festival
「低コストで作品が制作ができるようになったのがデジタル化によるメリット」と、校内を案内してくれたComputer Artコース大学院の学部長であるティモシー・ビンクレー氏は言った。この言葉になるほどな、と納得したのは、10月16〜19日に開催されたフィルム・フェスティバル、The Low Res Film Festivalを観たからだ。
パンフレットによると、「コンピュータやデジタル・ツールが、低予算の映画やビデオ作品にどう影響を及ぼしたかがテーマ。数年前までは、メジャーなハリウッドのスタジオでしか可能にならなかった、ブロードキャストクオリティのビデオが、新しいテクノロジー−−例えばQuickTimeやAdobe Premiere、After Effects(アップルやアドビは同フェスティバルのスポンサーでもある…)−−のおかげで、パーソナルコンピュータでも制作できるようになった」と解説している。
アメリカ、日本、イギリスなどの20作品以上が上映された(SVAの学生の作品もあった)のだが、内容は「これのどこがデジタルなの?」というような、すっとぼけた理解不能な作品から、動きが美しい3Dのアニメーション、げらげら笑える2Dのアニメ、映像の美しさに凝ったMTV風、ドキュメンタリーなど、バラエティに富んでいた。
全体的には「アマチュアビデオ作品集」といった印象だったけれど、これはレベルが低いという意味ではない。デジタル…というと、イコール3Dアニメといった思い込みがあったので、普通の作品が多かったのが意外な感じだったのだ。デジタル、イコール低予算がこのフェスティバルの定義らしい。近頃、デジタルにこだわり過ぎて、おもしろくなくなっているデジタル系イベントが多い中で、かなり楽しめた方だった。
Webgrrls Expo '69開催
このコラムで何度か登場しているWebgrrlsが、10月22日にWebgrrls Expo '69を開催した。会場となった場所もおなじみのハイテクビル、New York Information Technology Center(NYITC)である。1年半前に設立されたWebgrrlsは、インターネットをはじめとする、ニューメディアブームの波に乗ってぐんぐん成長。ニューヨーク本部には1000人以上のメンバーが登録されていて、支部はアメリカ各地からカナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどにあり、9月には日本でも正式にスタートした。
エキスポの目的は「ニューメディア業界で女性がどんなことをしているかを知らしめる」こと。会場はWebサイトなどをデモするブースと、スピーチやパネルディスカッションが行われるスペースに分かれ、参加者は女性がほとんど。アメリカの場合、もともとこういったコンピュータ関連のエキスポに、女性の割合というのは日本と比較して多いのだけれど、Webgrrls Expo '69はそれにも増して出展者も参加者も女性が主役だった。
印象に残ったのは、ハーレムの学校から何組かの子どもたちが見学に来ていたことだ。手話でスピーチを理解している子どもたちの姿もあった。女性が新しいニューメディアという業界で活躍しているかを知ることで、子どもたちが新しい可能性を見つけることはとても価値のあることだと思う。