Cyber U. S. A.


1996年10月号

さらにデジタルな未来




第2回Macintosh New York Music Festival

 「来年は世界の各都市からも参加してもらい、ワールドワイドに開催したい」という主催者たち(ライブハウスThe Knitting Factoryのマイケル・ドーフ氏とIrving Plazaのアンドリュー・ラサエジ氏)の願いがかなって、第2回Macintosh New York Music Festivalがワールドワイドに、7月14〜20日に開催された。

 ニューヨークでは450バンドが17のライブハウスでパフォーマンスを繰り広げ、また、東京、シンガポール、スイス、シカゴ、シアトル、サンフランシスコのライブハウスも参加。これをサイバーキャストしたMacintosh New York Music Festivalは“最大のオンライン上でのミュージック・イベント”と銘打たれた。フェスティバルのWebサイトは開催中、150万ヒットを数えたそうだ。

 ここ1年で急激に増加したインターネット人口と、進歩したテクノロジーのおかげで、ワールドワイドに第2回が開催できたのと同時に、インターネットで中継することの意味が問われたような気がする。

 自宅から28.8KのダイアルアップによってStreamWorksで見るライブの様子は、カラーではあるが、ウインドウは小さいし、画質も音質もがっかりするほどいまいち。

 第1回が開催された昨年の夏は、“インターネットで中継!”というだけでも話題になり、モノクロのCU-SeeMeの画像が現われただけでも「おおっ!」と感動していたのを思い出すと、これでも格段の進歩ではあるけれども。

 実際にはサイバーキャストをひとつのエンターテインメントとして楽しむのにはまだまだのようだ。

 QuickTime Conferencingを使ったQuickTimeTVによる中継を、T1専用線で見てみようとしたがダメだった。Webサイトの情報はいつも不足気味で、サイバーキャストのスケジュールの掲載がされていないので、いつQuickTimeTV用の中継されているのか分からないのだ。

 すべてが終了した後の各紙のレビューなどを見ると、中継技術や回線の容量不足、使いずらいアプリケーションへ対する不満が書かれていた。マイケル・ドーフ氏も「アイデア的には成功したと思うが、テクノロジー面では不満」と語っている。

 昨年と比べていちばん変化があったのは、Webサイトに広告が入り、だいぶコマーシャル色が強くなったということだ。

 アップルのほかにもシリコン・グラフィックスやMCI(各クラブにISDN回線を提供)などが、メジャーなスポンサーとしてクレジットされていた。また、Web上のいくつかのミュージックCDショップへのリンクが張られており、お買いものはここでどうぞ、といった具合だ。

 フェスティバルは数日間、複数のクラブで行われるため、観客には入場券代わりの本人の顔写真つきパスを購入する。パスの登録オフィスにはQuickCamがつながれたMacがあって、これで本人の顔をキャプチャーしてカードに画像を組み込み、その場でパスを印刷、ラミネート加工するという製作方法がとられていた(昨年は写真つきのパスではなかったので、パスを渡せば誰でも入り放題だったのかもしれない)。

 Irving Plazaの脇にあった狭い登録オフィスにはエアコンがなく、扇風機が何台も回され、Macのケーブルはガムテープで本体や床や机に無造作に固定されてはいるのが、今年はいくぶんコマーシャル化したとは言えど“手作り”っぽくてほほえましかった。

シンポジウム、Plug.in

 フェスティバルと時期を合わせて、インターネットなどのテクノロジーが音楽業界に与えた影響をディスカッションするというシンポジウム、Plug.inがジュピター・コミュニケーションズ社主催で16〜18日にニューヨークで開催された。

 トーマス・ドルビーやローリー・アンダーソンなどのミュージシャンの講演や、インターネットの最新オーディオ/ビデオ技術、音楽の配付方法、著作権、コンサートのライブ中継などのトピックについてセッションが行われた。

 6月に行われたTibetan Freedom ConcertをサイバーキャストしたSonicNetのクリエイティブ・ディレクター、ニコラス・バターワース氏によると、同サイトには2日で50万アクセスがあったとのこと。これをサンプルにして、サイバーキャストの回線容量の不足や、リアルタイムで内容をまとめて編集していく難しさなどの問題点について語っていた。

 印象的だったのは、「これからはネットで音楽をで配付することが主流になっていくだろう」、と断言していたスピーカーがいたことだ。会場からは賛否の意見がいろいろと飛び出していたが。

 「デジタルカメラは従来のフィルムを駆逐する」と、デジタルフォトグラフィーの将来を予言する写真家もいることだし、サイバーキャストにしてもこの先、インターネットを意識しないで本格的に楽しめる日はけっこう近いのかも知れない。



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